NVIDIA製の組み込み向けGPUコンピュータ、Jetson TX1。コンパクトでありながら、GPUをフル活用できる高性能が大きな魅力です。
しかし、『本体はコンパクト』なのですが、大きな評価ボードに載っているためにコンパクトさが伝わらないのが難点。
そこで今回、Jetson TX1 用のキャリアボード「AUVIDEA J120」 (以降J120) を手に入れ、取り付けてISPではおなじみの看板検出デモを動かしてみました。
by Nagasawa Kazuki 2016/8/22
1日目 ~分解 & 移植~
分解の前に一度、Jetson TX1を起動させて初期不良が無いことを確認しておきました。
合わせて、予めダウンロードしたJ120のファームウェアをコピーしてホームディレクトリに配置しました。
次にJ120を確認。
ここで、電源がそのまま接続できないことが発覚。1日目は組み付けだけを行うことにしました。
いよいよ組み付けです。
Jetson TX1を評価ボードから外してJ120に接続しました。思っていたよりも簡単に外れました。
ここまで問題なく完了しました。
次は電源ケーブル周りの部品を待って、再開です。
2日目 (1) ~電源ケーブル自作~
足りない電源部品は急ぎ調達、当社HWエンジニアに組み立ててもらいました。
追加部品 | 値段 | 数量 | |
---|---|---|---|
(A) | 1.65W級スイッチングACアダプター12V5A | ¥1,800 | 1 |
(B) | 2.1mm標準DCジャック⇔スクリュー端子台 | ¥80 | 1 |
電源に関して、J120の仕様を確認すると7V~17V (推奨12V)となっていました。
対してJetson TX1用のACアダプターは19V、2Vオーバーしています。安易に「繋がりそう」でつなげてしまうと危険ですね。
J120付属のケーブルと組み合わせて、小4pin⇔ACアダプターの接続を作成し、
(B)の部品を合わせて(A)のACアダプターから電源を入力できるようになりました。
2日目 (2) ~起動 & デモ起動~
電源が入るようになったので、ついに起動です。
電源を繋ぐとオートスタート。
起動後はファームウェア更新です。
Readmeを読むと『/bootと/libをコピーせよ』とのこと。失敗したらと思うとドキドキしましたが、更新後の再起動も問題なく立ち上がりました。
( あらかじめJetson TX1内に入れていたzipファイルを展開 ) $ unzip J120_Kernel_v_1.1 $ cd J120_Kernel_v_1.1 ( 中の J120.tar.gz を展開 ) $ tar zxvf J120.tar.gz ( /boot と /lib をバックアップ ) $ sudo cp –r /boot /boot_bkup $ sudo cp –r /lib /lib_bkup ( readme.txt に書いてある通りにファイルコピー実施 ) $ cd kernel_new $ sudo cp –rf Image /boot $ sudo cp –rf zImage /boot $ sudo cp –rf auvbidea_j120.dtb /boot $ sudo cp –rf lib/* /lib ( /boot 内の extlinux.conf を見て、auvidea_j120.dtb を使うようになっているのを確認 ) ( 再起動 ) $ sudo reboot
ここまでできたら一安心です。
あとはデモに必要なミドルウェア (JetPack、OpenCV for Tegra、Caffe) をインストールして起動!
最後に
今回のJ120換装により、ようやくJetson TX1の本気を見ることができました。ここまで小さくなると、
- モバイルバッテリーで動かして、どこでも持ち運び。
- ドローンやラジコンに組み込んで動かしてみる。
など様々な用途に夢が広がります!!
デモ機材情報
名前 | 備考 | |
---|---|---|
HW | Jetson TX1 (with J120) | 電源部自作 |
ディスプレイ | On-Lap 11インチモニター | |
カメラ | Logitec HD C615 | |
ミドルウェア | JetPack OpenCV for Tegra Caffe |
|
ソフトウェア | Caffe を使った看板検知デモ | ISP作成 |