近年人事の分野では、HRTechと並んで「ピープルアナリティクス」というキーワードをよく耳にします。
一般社団法人 ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会[^1](以下協会)から2020年5月28日に出版された「ピープルアナリティクスの教科書」によると、ピープルアナリティクスとは、「人材マネジメントにまつわる様々なデータを活用して、人材マネジメントの意思決定の精度向上や業務の効率化、従業員への提供価値向上を実現する手法」[^2]です。協会には2018年2月に設立され、ISPは設立当時から参加しています。
ISPのかかわり
ISPはシステム開発の会社ですが、データ分析の観点から主に行動データ(加速度など)の分析を2016年から取り組んできました。そのご縁でリクルートワークス研究所 「センサーデバイスを活用したコミュニケーション可視化プロジェクト」[^3]におけるデータ分析にもご協力してきました。これらでは主にウェアラブルデバイスから得られるデータの分析および他指標との関連の分析等を行ってきました。
また、これらの経験からヒューマンキャピタルへの出展[^4] [^5] [^6]や、一般社団法人 ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 MIT公式講座 People Analytics: Transforming Management with Behavioral Data[^7]に参加し、人事市場で活動しています。
この記事の目的
ピープルアナリティクスとかかわりを持ってきた当社ですが、当社のデータを使って、社内の様子を分析してみようというのがこの記事の目的です。特にこれまでのかかわりから、センサデータやコミュニケーションに着目し分析していきます。
進め方
ピープルアナリティクスをすすめるにあたっては次のような重要なポイントがあり、本格的にすすめるためにはこれらを事前に、また入念に計画するべきことは理解しています。
- 目的、仮説の設定
- 価値提供
- 実行手順
- チーム編成
…など
ただし、いきなり「センサデータ」や「コミュニケーションデータ」をもとにすすめてもうまくいきそうにありませんので、まずは「プレ」ピープルアナリティクスの位置づけで、これらがどういったデータであるか、これらデータで言えることはなにかを明らかにした上で、どのくらい「人材マネージメントにまつわる様々なデータ」として有効か探っていきます。
コミュニケーションデータ
当社では「誰(staff)」が、どの「仕事(job)」に何時間費やしたか、日々記録しています。このデータを「グラフ」としてあらわすと、次のようになります。赤四角が人(staff)、青丸が仕事(job)を表しており、筆者の周りの8名(ユニット)の 2020/4 から 2020/6 までのデータを使用しています。
この図だけでも、ユニットのstaffが多数参加しているjobもあり、関連しないjobが多いstaffがいたり、というのがわかります。次回以降、これをユニット内のコミュニケーションとみなし、より具体的に分析してみます。
今後の予定
次のような内容ですすめていきます。
- このデータの分析
- 上の絵はいわゆる完全2部グラフ(staffとjobの間にエッジのないグラフ)ですが、ここからstaffだけのグラフを作成し、統計値を算出します
- 他データ(検討中)と組み合わせて、相関をみます
- 時系列集計
- このグラフは3か月をまとめていますが、月別に分解したり、さらに昨年度以前のデータとも相互に分析します
- ベンチマーク比較
- 他部署と比較します
- [^1]一般社団法人 ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会
- [^2]ピープルアナリティクスの教科書 一般社団法人 ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 p14
- [^3]リクルートワークス研究所 「センサーデバイスを活用したコミュニケーション可視化プロジェクト」
- [^4] ヒューマンキャピタル 2017
- [^5]ヒューマンキャピタル 2018
- [^6]ヒューマンキャピタル 2019
- [^7] 一般社団法人 ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 MIT公式講座 People Analytics: Transforming Management with Behavioral Data ※8: