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クラウドプラットフォームによるCAEとAIの融合 ~熱拡散問題の逆問題を Deep Learning で解く~

AIにブレイクスルーをもたらした Deep Learning。その高い能力・性能は、昨今では様々な分野へ応用され、社会・経済に大きなイノベーションをもたらしています。
しかしながら、CAEの分野においては、AI・Deep Learning を活用した事例はまだまだ少ないのが現状です。

CAE業界向けにDeep Learningを紹介する取り組みとして、Rescale Japan長尾太介さんと共に、逆問題への適用に挑戦しました。適用する逆問題として、熱拡散問題を取り上げます。

熱拡散問題の逆問題

熱拡散問題の逆問題として、温度分布の結果より境界条件(A~Pの温度)を推定します。28×28のメッシュに区切った784エリアの温度データから、16の境界値温度を推定します。

教師あり学習とし、Deep Learning フレームワークには Google の Tensorflow を使用しました。
ネットワークはCNN(畳み込みネットワーク)を使用しました。今回は、初チャレンジとなるので、MNIST問題を解く際に使用するLeNetをまず使い、感触を確かめるところからアプローチしました。
推定の対象である境界値は、連続値をとりますが、条件などは設定せず、どのような結果が出るかを見てみました。

温度分布

学習用データの作成

学習用データは拡散方程式を使って作成しました。

  1. 境界値温度を乱数で決定
  2. 拡散方程式を使って28×28のメッシュ部分の温度分布を算出
  3. 学習用データとして、境界値温度と内部の温度分布を100パターン作成

最終的に、作成した100つの学習用データを可視化すると右のようなイメージとなります。

学習用データ

ネットワークの工夫と結果

はじめに、比較的単純なCNNであるLeNetを用いて解いてみました。
下の図は、ネットワークの構成を図示したものです。
LeNet

LeNetでの結果は以下のようになりました。

result_LeNet
横軸 : 境界位置(A, B, …P)
縦軸 : 温度
青線 : 正解値
赤線 : 推定値

全体的な山なりの傾向(温度の高い/低い)は当たっているように見えます。
しかし、細かく見てみますと、正解値から外れている部分もしばしば見られます。
精度としてはまずまずです。

続いて、ネットワークを工夫してみました。
LeNetではFC層で局所的な特徴量 (例えば、隣り合ったピクセル間の特徴量) がひとまとまりになって潰れてしまうため、Convolution層を追加し、局所的な特徴量を残すようにネットワークを調整してみます。
下の図は、工夫した後のネットワークの構成です。
after_improvment

結果は以下のようになりました。

006_result_after_improvement
横軸 : 境界位置(A, B, …P)
縦軸 : 温度
青線 : 正解値
赤線 : 推定値

全体的に、推定値が正解値を綺麗になぞっていることがわかります。
ネットワークの工夫によって、推定の精度を向上させることが出来ました。

まとめ

  • 100程度の学習データにて予測を試みましたが、予想以上の精度での推定が出来ました。
  • 引き続き、CAE業界向けのDeep Learningについて、検討を進めていきます。

今回の取り組みは、10/10(火) Rescale Japan株式会社主催の「Rescale Night Tokyo #3」、
及び、NPO法人CAE懇話会主催の「第54回関西CAE懇話会」にて発表を行いました。

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ai-contact@isp.co.jp
03-5489-0232
【担当】
久野・長澤(くの・ながさわ)

●関連リンク
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第54回関西CAE懇話会 イベントページ
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