徒然なるままにクロマキーバック:その1

手近な物でクロマキーバック

今回は、手近な物でクロマキー撮影(静止画)を行い、クロマキーバックの特性について整理します。



手っ取り早くクロマキーバック(クロマキー合成用スクリーン)を用意するには、大き目の手芸用品店で、緑の布を買ってくるのが一番です。比較的どこでも手に入りますし、リーズナブル。

ということで、やってみました。
用意したのは、1.4m×4mのナイロン製の布です。
ちなみに、布はコットンよりも化繊の方がしわにならないので、断然扱いやすいです。テスト撮影画像

ライティングは、右斜めやや上からモノブロックストロボを一灯。
左に出る影を緩和する形で小型のスレーブストロボを直近から一灯となっています。
※ぐだぐだな写真になってますが、クロマキーバックの特性を説明するためわざとやってます。

ではではこのサンプルを例に、クロマキーバックを選定していくにつけて、思いつくところを書き綴っていきます。

  1. 大きさ
    今回の布は、ちょっと小さかったです。なんとか全身をカバーしていますが、足元まで入れた撮影を考えるならば、最低でも幅2mで高さ5m以上が必要になります。
    まして、動き回ることが前提の映像の撮影では、もっと大きな物が必要です。
    では、大きな布ってあるのでしょうか?カーテン・寝装品向けの150cm巾以上の物が多く出回っているそうです。ただ、200cm巾を超えると商品数が少なくなり、単色緑は、さらに種類が限られます。つまり、一般的な手芸用品店での入手は困難ということです。
    布なので縫い合わせればよいと思うかもしれませんが、クロマキーの合成品質に影響を与えない縫製は難しいでしょう。
  2. 色味
    色は、クロマキーバックの命です。
    緑と一口で言っても千差万別で、本当にベストな緑の素材を探すのは、かなり困難です。
    使うクロマキーソフトによっても好みの色は異なります。
    「おっ!いいグリーンだねぇ」と目利きができる日を目指して精進しましょう。
  3. 設置方法(テープで張るのはカッコ悪し)
    クロマキー撮影するためには、布をどこかに貼るか垂らす必要があります。
    今回はテープで貼りつけましたが(図1-①)、なんともカッコ悪いですよね。
    これを解決するには、何らかの設置装置なりが必要ってことです。
    クロマキーバックが常設なのか仮設なのかも考慮しつつ要検討です。
  4. テカリ(白飛び)
    バックスクリーンに強い光が当たると反射してテカリます。
    図1-②は、ストロボの光が強く当たり、色がなくなっています。いわゆる白飛びという状態です。
    この状態では、クロマキー処理が働かないため、白飛び部分だけ合成されません。
    光が当たれば反射しますので、ストロボを使わない映像撮影でも発生します。
    この現象は、素材によってかなり左右されますので、クロマキーバックを選択する場合の重要なファクターですね。
  5. シワ・タルミ
    図1-③の部分を見てください。タルミによりできた陰ではっきりとムラ模様がついています。
    このムラ模様は、クロマキーの敵です。
    布は、可搬性に優れていますが、シワになりやすく、タルミもできやすいという弱点も抱えています。
    そのため、布のような素材を使う場合、シワ・タルミができないように綺麗に張る必要があります。図1-④の様な張っても取れない折ジワ等は、ドライヤーなどでしわを伸ばす作業を行うそうです。
    巨大な布にドライヤーをかける作業はできれば避けたいですね。
    足元まで含める場合は、この布だとかなり困難ですね。動くたびに足元シワシワorz
  6. 映り込み
    これが、クロマキー合成にとって最大の敵です。図1-⑤が分かりやすいですが、実は、顔や腕やシャツなどに微妙な映り込みがあります。その結果、人間の場合、肌の血色が悪く見えるため、広告写真などでは、NGとなりかねません。
    映り込みをどのように処理するかがクロマキーツールの特徴を大きく左右するわけですが、できることなら映り込まないのがベスト。
    ライティングや撮影方法によって左右されますが、クロマキーバックの素材も大きく影響していると考えられるので、要チェックです。
  7. 防炎・耐燃性
    商業施設などに常設するような場合は、この防炎・耐燃性が必要となる場合がほとんどのようです。
    今回使用した布地などは、防炎加工されているわけもありませんので、どんなにクロマキー特性が優れていても、この一点で採用不可となります。
    設置環境・目的にもよりますが、頭に置いておく必要はありそうです。
  8. コスト
    用途・目的にもよりますが、当然のこととして、コストは選定要素として外せませんね。クロマキーバックとしてどんなに優れていても、3万/平方センチとかはあり得ませんからね。

さてさて、手っ取り早く身近な手芸用品店で入手した布を使ってクロマキーバックにしてみましたが、業務で使うのは、かなり困難そうであることをご理解いただけましたか?
テスト撮影を通じてクロマキーバックを選定していくための要素が見えてきましたので、以下にまとめました。


クロマキーバック選定留意点

  • 素材選定での留意点 大きさ、色味、映り込み特性、反射特性、強度(含むシワ耐性)、防炎処理
  • 設置方法選定での留意点 常設、仮設、屋内、屋外、etc
  • 入手経路についての留意点 入手容易性、長期安定大量供給、リードタイム
  • コスト 用途目的とクロマキー特性のバランスが肝要

今回は、手じかな物でクロマキー撮影を行い特性について見てきました。なので次回は、商品として流通している、クロマキーバックを、ざっくりと調査報告しようかと思います。それでは(^-^)