小型かつ省電力ながら強力なGPUデバイスである NVIDIA Jetson TX2。
ISPでは、よりコンパクトに動かすために評価用ボードから取り外し、Third Party製のキャリアボードを取り付け、さらに小型化して動作させています。このAIモジュールを現場に持ち出して使いたい、そんなシーンがよくあります。
そこで2019/4/17 ~ 4/19に開催された「INDUSTRY-FRONTIER 2019 AIとロボティクス産業展」に向け、『現場で手軽に利用できる推論ユニット』というテーマでデモシステムを構築して展示しました。
デモシステムは「Portable GPU Inference Unit」という名前で、ステレオカメラやモバイルディスプレイ、LEDパネルと組み合わせて、人を検知して距離 (近・遠) を知らせるデモとして展示しました。
※ 今回はデモ展示を目的としたコンセプトモデルにつき、実運用・持ち運びに対する耐久性 (防水・防塵、耐振動、etc..) は考慮していません。
機材リスト
使用した主な機材は以下の通りです。
コアユニット
No. | 名前 | 備考 | |
---|---|---|---|
1 | 外装 | Astage アルミツールケース | W220 × D80 × H175 (mm) |
2 | バッテリー | サンワサプライ ノートパソコン用モバイルバッテリー | DC12V出力可能なこと |
3 | HW | NVIDIA Jetson TX2 + Auvidea J120 |
その他デモシステム
No. | 名前 | 備考 | |
---|---|---|---|
1 | ディスプレイ | On-Lap 13インチモニター | |
2 | ステレオカメラ | ZED Camera | |
3 | LED パネル | NVIDIA Jetson TX2 + Auvidea J120 | 操作は Arduino Uno を利用 |
4 | LED パネル 操作 | Arduino Uno | Jetson TX2 ⇔ ArduinoはUSBシリアル通信 |
コアユニット制作
このユニットは当社HWエンジニアの力作となりました!!
特長は以下の通りです。
箱を閉じた状態で利用可能
ケースの一面を取り外し、J120 の 各種I/F (HDMI、USB 3.0 × 2、Network)、Jetson TX2 の無線アンテナ、バッテリーの給電ケーブルを接続可能にしました。
ケースはアルミ薄板 + 厚紙だったので、加工は容易であったとのこと。
バッテリーのスイッチと別にハードスイッチを用意
J120の性質上、給電が開始されると電源が入ってしまいます。
また、バッテリーは給電対象との接続が切れないと電源Offになりません。
そこで、バッテリーのスイッチとは別にハードスイッチを用意することにより、
- 電源投入はハードスイッチをOnにした上で、バッテリーの電源をOnにする。
→ Jetson TX2が起動。 - 電源を切る際はハードスイッチをOffにする。
→ 電源供給が止まるので一定時間後にバッテリーもOff。
となるようにしました。
ケースの蓋側に通気口を用意
今回のコンセプトでは、ケースが閉じていても動作することを目指していたのですが、ケースが閉じているとJetson TX2やバッテリーの熱が籠ってしまう可能性があります。
そこで、Jetson TX2のファンの上部に通気口を設けることで、ケースが閉じていても通気ができるようにしました。
※ Jetson TX2のファンは放熱板に空気を流すためのもの (空気の流れは上から下) なので、本来は流れた空気を出すための穴がケース横にさらに必要そうです。
まとめ
PC・電源をコンパクトに一纏めにして手軽に持ち運び可能なGPUデバイスを作成してみました。
GPUを使って高速に処理を行うことができるJetson TX2の利用シーンは例えば、
- 今回のようにカメラやセンサを接続して、判別 → 警告出せるデバイスとして使用
- 箱を閉じたまま持ち運び、判別した結果を随時貯めるデバイスとして使用
などなど、様々な使い方が期待できそうです。