ここでは従来の方法(バイキュービック法)と周波数特性に忠実な縮小を行うISPアルゴリズムとで縮小画像の比較を行ってみましょう。
モアレ発生の抑制
周期的な模様を含む画像を縮小すると、元の画像にはない縞模様が現れることがあります。この縞模様はモアレと呼ばれています。
周期的な画像の例として、単純な画像を例に考えてみます。 上の画像はsin( 0.5πx )を描画したもので、明暗が2ドット間隔に並ぶ縞模様となっています。
この画像を40%に縮小したものが下の画像です。 2ドット間隔の明暗を50%に縮小すると、1ドット間隔の明暗となります。 しかし40%に縮小すると、縮小後の解像度ではこの明暗を表現することができません。 この表現できない縞模様の変換の仕方によってはモアレが発生します。
周期的な画像の40%縮小
上の画像は既存のアルゴリズム(バイキュービック法)とISPアルゴリズムの比較です。 バイキュービック法は各ソフトによって差がありますが、ここでは一般的なフォトレタッチソフトを使用しました。
(A)元画像にはない縞模様が現れています。縮小過程で画像が劣化していることがわかります。
(B)縮小後の解像度で表現できない縞模様は、縞模様の平均をとってグレーに変換されます。これは細かい縞模様を遠く離れてみたときにグレーに見えることに相当します。
上のように縮小後の解像度で表現できない周期模様の平均をとることで、モアレの発生を抑制しています。
エッジ情報の保存
次は斜めに入ったラインを例にとってエッジ情報について見てみましょう。
ライン画像の40%縮小
斜めに入ったラインは一見単純な線のように見えますが、高周波成分が含まれています。 そのため高周波成分が失われるような縮小を行うと真っ直ぐなラインがガタガタした階段状になってしまいます。
(A)を見ると真っ直ぐなはずのラインが点線のように崩れており、エッジ情報が劣化してることがわかります。
(B)では(A)で劣化している部分も滑らかに変換していることがわかります。