クロマキー合成の課題としては、以下が考えられます。
- 毛先などの背景と色が混じり合う部分の合成
- 肌や洋服などに背景色が映り込む部分の合成
- 背景の問題
- 照明の問題
毛先の合成
毛先では髪の色と背景色が混じり合います。一般的なフォトレタッチソフトで背景色を色域指定で除去した場合、上の画像のように背景色が残り、不自然な合成になってしまいます。
毛先の合成は髪の色と背景色が混じり合った状態からいったん背景色を除去して髪の色を抽出した後、合成対象の色と混合することで高品位な合成が実現できます。
映り込みの問題
背景素材と被写体が近い場合、背景色が肌や服に映り込むことがあります。高品位な合成を実現するには、この映り込みを除去する必要があります。フォトレタッチソフトの色域指定では背景色の映り込みが残ってしまいます。
映り込みの除去は肌や服などの前景色と背景色が混じり合った状態から、背景色を除去することで実現できます。
背景色の問題
一般に、クロマキー合成において高品位な合成を実現するには、均一な背景で被写体を撮影することが望まれます。
しかし、均一な背景を実現するためには背景素材に強い照明をあてる必要があり、コストがかかります。また屋外などで撮影するときは背景素材にシワが出来てしまいます。このため、背景に照明ムラやシワがあっても高品位な合成を実現する、ロバスト(頑健)なクロマキー合成が望まれます。
背景素材にシワや影のある画像においても、ISPアルゴリズムは毛先のディテールに与える影響を少なく、かつ高品位な合成を実現します。
照明の問題
一番困難な問題が照明です。合成する背景にあわせて照明をセッティングする必要があります。屋外の風景画像と合成するなら、風景画像の太陽の向きにあわせて照明をセットする必要があります。また日向か日陰かで照明を変える必要があります。
照明をセットするときは合成する画像の、直接光の向き、環境光を考える必要があります。照明こそが自然な合成を実現するための一番重要な要素といえます。照明をソフト的な処理で変更するのは非常に困難であり、この一番重要な照明はハード的にセッティングする必要があります。